AIが案件の「重要度」に応じて説明文の「適切性」を自動判定
INTERVIEW
2025/11/04
背景:ガバナンスの「構造的限界」と「経験と勘」への依存
企業活動において、不正の本質は「歪み」にあります。特に財務報告に関わる不正には、会計処理の矛盾や取引関係の不透明性といった「歪み」が必ず伴います。
しかし、従来の経理・財務・内部監査の現場では、この「歪み」の検知において構造的な限界がありました。契約書や稟議書といった膨大な「言語データ」の解釈は、個人の「経験と勘」という再現性のない暗黙知に依存しがちでした。
また、すべての取引を検証する「全件検査」は困難であり、「試査(サンプリング)」に頼らざるを得ず、構造的な見逃しリスクを内包していました。
特許技術の概要:AIが「文脈(重要度)」を理解し、「説明の歪み」を相対評価
今回出願した技術は、まさにこの「言語解釈の属人化」と「調査範囲の限定」という構造的限界を、生成AI(LLM)によって打破するものです。
この技術は、従来見過ごされてきた「重要な案件なのに、説明文が簡単すぎる(具体性を欠く)」という深刻なリスクに着目しています。本技術の核心は、「絶対評価」ではなく「相対評価」を行う点にあります。
AIが申請されたテキストデータ(例:「打合せのため」)とその案件の背景にある「文脈データ」(例:金額1億円)を同時に取得。AI(LLM)がテキストを「具体性」「論理性」「定量性」「客観性」等の軸で分析し、その品質が「1億円の重要度に見合った説明責任を果たしているか」を客観的なスコアとして算出します。
具体例:AIによる「不適切な稟議書」の検知
例えば、**「1億円の投資稟議書」の説明文が「打合せのため」**という一文だけで承認されてしまうケースです。これは、ベテランの実務家であれば即座に「違和感」を抱く典型的な「ロジックの歪み」ですが、従来のシステムでは検知が困難でした。
本技術を用いれば、AIが「1億円」という重要度と「打合せのため」という具体性を欠く説明文を対比させ、同じ記述でも「1,000円の経費精算」なら許容し、「1億円の投資稟議」では「不適切(歪みあり)」と自動判定することが可能になります。
もたらす未来:「経験と勘」の標準化と、強力な「不正抑止力」の実現
この技術は、ベテラン実務家が持つ「違和感」や「経験と勘」をデジタル化し、組織全体で「標準化」することを可能にします。
AIが疲れ知らずの分析者として常時全データを監視する「継続的モニタリング」を実現し、「試査」の限界を克服します。これにより、ガバナンスの重心は事後的な「発見」から事前的な「予防・抑止」へと移行し、不正検知のパラダイムシフトを引き起こします。
ジュリオ株式会社は、会計専門家の能力を拡張するパートナーとしてAI技術を位置づけ、未来のガバナンス基盤の構築に貢献してまいります。
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