「点」のチェックから「面」の監視へ。AIが関連データ全ての整合性を検証し、不正の逃げ道を塞ぐ技術
INTERVIEW
2026/01/15
ジュリオ株式会社(代表取締役 姥貝賢次)は、この度、AI(大規模言語モデル)を活用し、巧妙に隠蔽された不正行為を発見する新たな技術について、特許を出願(特願2025-148218)しましたことをお知らせいたします。
背景:ガバナンスの「構造的限界」と「経験と勘」への依存
不正の本質は「歪み」であり、不正検知とはその歪みを見抜く営為です。
しかし、従来の不正検知は、経費精算書や契約書といった個別の書類を「点」で監視する「試査(サンプリング)」が主流でした。このアプローチでは、個々の書類が巧妙に偽装されていると、不正を発見することは困難です。
さらに、データ間に隠された文脈的な矛盾を見抜くには、ベテラン実務家の「経験と勘」といった属人的な暗黙知に依存するという構造的な限界がありました。
特許技術の概要:「点」から「面」へ。AIがデータ間の「文脈の矛盾」を検知
今回出願した技術は、この「属人化」と「調査範囲の限定」という構造的限界をAIによって打破するものです。
本技術は、AIを用いて個別の書類(点)を監視するのではなく、特定の一つの行為(例:ある一つの出張)に関連する複数のデータソースを「面」として同時に監視します。
AIは、稟議書、経費精算書、さらにはPCのシステムログや勤怠記録といった、形式の異なる複数の非構造化データ(自然言語データ)の意味内容を横断的に解析し、**データ間での「意味的な文脈の矛盾(=歪み)」**を自動的に検知します。
具体例:AIによる「カラ出張」の検知
例えば、ある社員が「カラ出張」を画策したケースを考えます。
①出張報告書には「東京で重要会議に参加」と記載
②経費精算書には「東京への往復交通費」を申請
③PCログイン記録には、同日同時刻に「大阪本社のPCからアクセス」
④勤怠記録では「大阪本社で勤務」
従来の「点」の監視では、①と②の書類が整っていれば不正は見抜けませんでした。しかし本技術では、AIが①~④のデータを「面」として同時に解析し、「東京で会議」という記述と「大阪でPCアクセス」という事実の間に存在する「時間軸の異常」および「論理の矛盾」を自動的に検知し、警告を発します。
もたらす未来:「経験と勘」の標準化と、強力な「不正抑止力」の実現
本技術は、監視のあり方を根本的に変革します。不正を行おうとする者は、単一の書類を偽装するだけでは不十分であり、関連する全てのデータ(PCログ、メール、勤怠など)において、完璧な整合性(=完璧なアリバイ工作)を取ることを要求されます。
これにより、不正実行のコストと心理的負荷が極限まで高まり、「不正は割に合わない」という認識が組織文化として醸成され、強力な「抑止力」として機能します。
ジュリオ株式会社は、ベテランの「経験と勘」をAIによって「標準化」し、従来の「試査」の限界を超える「全件検査」を実現することで、未来のガバナンス基盤の構築に貢献してまいります。
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